「ナイスショットのつもりがスライスに…。」「飛距離がなかなか伸びない…。」
そんな悩みを抱えているゴルファーの方は少なくありません。
その原因、実は「スライド」という体の動きにあるかもしれません。
スライドとは、スイング中に骨盤や下半身が横に流れてしまう動きのこと。
この動きが起こると、体の回転がうまく使えず、飛距離やショットの安定性に大きく影響してしまいます。
本記事では、このスライドとは何か?なぜ起きるのか?を身体の動かし方の点からひも解いていきます。
ゴルファーのパフォーマンス向上をサポートする視点から、わかりやすく解説していきます。
「スイングを改善したい」「体に無理のない効率的な動きを身につけたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください!
スライドとは何か?
ゴルフスイングにおけるスライドとは、ダウンスイング時に骨盤が横方向へ大きく流れてしまう動きのことを指します。
本来スイングでは、骨盤や体幹は回転することが理想的ですが、スライドが起こると、回転ではなく横への移動(平行移動)がメインになってしまうのです。
特に多く見られるのは、ダウンスイングで左足へ体重を乗せようとする際に、骨盤が回らずに横にズレてしまうパターンです。

▼ よくある誤解
「体重移動=体を横に動かすこと」と思っている方は要注意です。
体重を左に乗せるのは正しい動きですが、横に流すのではなく、左脚を軸に回転するのがポイントです。

スライドは、スイングのパワー伝達やミート率に大きく関わる重要な動作です。
次の項目では、このスライドが実際にどんな悪影響を及ぼすのかを見ていきましょう。
スライドのデメリット
スイング中に骨盤が横に流れるスライドは、見た目には一見大きなエラーに見えないかもしれません。しかし実際には、飛距離・正確性・身体への負担など、ゴルフパフォーマンス全体に悪影響を及ぼします。
ここでは、スライドによって起こりやすい主なデメリットを紹介します。
① 飛距離が出ない
スイングのパワーは本来、体の回転から生まれます。しかしスライドが起こると、骨盤や胸郭が十分に回転せず、地面反力もうまく使えなくなるためエネルギーがクラブに伝わりません。その結果、インパクトが弱くなり飛距離が伸び悩みます。
② ミート率の低下・スライスやシャンクが増える
骨盤が横に流れると、スイングプレーン(クラブの軌道)がブレやすくなります。するとインパクトでフェースが開きやすくなり、スライスやシャンクといったミスショットが発生しやすくなります。
③ タイミングが取りにくくなる
スライド動作では、体の左右バランスやタイミングを合わせるのが難しくなります。
結果的に、スイングの再現性が低下し、安定性が失われます。
④ 腰や膝など、関節への負担が増える
本来の回旋運動ではなく横ずれが起きると、関節に過剰なストレスがかかりやすくなります。
特に多いのが、左腰・左膝の痛みです。左腰は引き伸ばされるストレスがかかり、左膝は内側に反るようなストレスがかかりやすくなります。
スライドの影響は、単なるショットの乱れにとどまりません。
体の動きによって、パフォーマンスにも身体の健康にも影響が出てくるのです。
身体の機能から考える原因
スライドは技術的な誤解だけでなく、身体の機能的な制限やアンバランスによって無意識に起こっているケースが非常に多く見られます。
特に、回旋の可動域や体幹の安定性、片脚支持力など、ゴルフ特有の動作に必要な身体要素が不足していると、回転ではなく横ズレで代償する動きが出やすくなります。
以下では、TPIの評価でも注目される代表的な身体的原因を紹介します。
① 股関節の回旋制限(特に左股関節の内旋)
スイング中、骨盤をスムーズに回すには、股関節の回旋(内旋・外旋)可動域が必要不可欠です。
特に右打ちの方は、ダウンスイングからフォロースルーにかけて左股関節の内旋が制限されていると、骨盤を回す代わりに横に逃がすスライドの動きが出やすくなります。
② 骨盤と胸郭の分離不足(セパレーション)
ゴルフスイングでは、下半身は回しながら、上半身は一瞬残すというタイミングのズレ=セパレーションが重要です。
このセパレーション能力が低いと、体幹全体が一緒に動いてしまい、骨盤単独での回転がうまくできません。
結果として、スライドによってパワーを補おうとする代償動作が起こります。
③ 片脚支持の不安定さ(バランス)
スイング中の左足への体重移動時、左脚で安定して体重を支えられないと体を真上から乗せられず、バランスをとるために横方向へスライドが出やすくなります。特に殿筋群の筋力の低下によくみられる傾向があります。
中高年ゴルファーでは、体幹の支持力や足部の安定性低下が原因でこの動きが見られることが多いです。
④ 足部の安定性(特に内側アーチの崩れ)
スイングの土台となる足裏が不安定だと、地面を押す力(地面反力)が弱くなり、回転力が十分に生まれません。
特に扁平足など内側アーチの低下があると、踏ん張りが効かず、回転ではなくスライドによって強引にパワーを出そうとする傾向が見られます。
TPI評価で分かること
スライドを直したいと思ったとき、スイングフォームを変えることに意識が向きがちです。
しかし、本当に必要なのは身体がどう動いているかを正しく知ること。
TPI評価では、ゴルフスイングに必要な身体機能を細かくチェックし、どこに制限や弱点があるのかを可視化することができます。
スライドの原因となる可動域不足・筋力のアンバランス・安定性の低下などを明らかにすることで、より本質的なアプローチが可能になります。
✅ TPI評価でチェックできる代表的な項目
● ヒップローテーションテスト
→ 股関節がスムーズに回るか? 左右差はあるか?
→ スライド傾向のある方は、左股関節の内旋が制限されていることが多いです。
● セパレーションテスト(上半身・下半身)
→ 上半身と下半身を分離して動かせるか?
→ うまく分けられないと、骨盤を回す代わりに体全体が横に流れやすくなります。
● オーバーヘッドスクワット
→ 全身の柔軟性、安定性、バランスの複合テスト
→ 股関節・足部・体幹が十分に動かせているのかが分かります。
● 片脚バランステスト
→ 左右どちらの脚で立ってもふらつかずに支えられるか?
→ 片脚支持が不安定だと、体重移動が不十分になりスライドが出やすくなります。
✅ TPI評価のメリットとは?
- ゴルフスイングに直結する「自分の体のクセ」が明確になる
- スイングフォームを無理にいじらず、根本改善ができる
- 怪我の予防や、長くゴルフを楽しむ体づくりにもつながる
TPI評価は単なる姿勢チェックや柔軟テストではありません。
ゴルフのための身体分析に特化した、世界中のツアープロも取り入れている信頼性の高い評価法です。
スイングに悩んでいる方ほど、自分の体を知ることが上達の近道になります。
まとめ
ゴルフスイングにおけるスライドは、一見小さな体の動きのクセに見えますが、
実は飛距離のロス、ミート率の低下、そしてケガのリスクにまでつながる重要なポイントです。
スライドが起きる原因は、スイングの誤解だけでなく、
股関節の硬さ・体幹の不安定さ・足元の弱さなど、身体的な問題から来ていることが多くあります。
TPI評価を活用すれば、そうした身体のクセや制限を明確にし、
フォームを直す前に、体を整えるという根本的な改善が可能になります。
ゴルフ上達のカギは、「自分の体を知ること」
スイングの安定、飛距離アップ、ケガ予防
そのどれもが、正しい動きができる身体づくりによって実現していきます。
もしあなたが、「同じミスを繰り返している」「レッスンだけでは変わらなかった」と感じているなら、
一度、自分の身体に目を向けてみてください。
ゴルフの体幹やバランスの強化、可動域の改善などにお悩みの方は西宮・甲子園のFany整体鍼灸院へお気軽にご相談ください。

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