朝目覚めて、「首が動かない」「首を動かそうとしたらピキッとした痛み」。思わず顔をしかめるような経験をしたことはありませんか？
これは寝違えと呼ばれる症状で、誰でも一度は経験したことがあるであろう身近なトラブルです。
今回は、寝違えが起きる原因や、やってはいけないNG行動、正しい対処法や予防法について詳しくご紹介します。
寝違えとは？
眠っていて目が覚めたときに、首の後ろや首から肩にかけての痛みが出ることがあり、いわゆる「寝違え」と言います。首を動かすと痛みが出る時もありますし、痛みで首を動かせない時もあります。
原因と病態
何が起こって痛みが出ているかについては、いろいろな意見がありますが検査や画像でとらえられるような変化がないのが一般的なので、正確な原因であるという証拠はありません。睡眠中不自然な姿勢が続いたために一部の筋肉が阻血（血液の供給が不足）におちいり時にしこりとなっている、前日などにいつもはしないスポーツや労働をして一部の筋肉が痙攣している（こむら返り）、頸椎の後ろの関節（椎間関節）の袋（関節包）に炎症がおこる、などの原因が考えられています。筋肉の阻血・疲労や関節包の炎症を引き起こすのは、上肢の使い過ぎ（手で重いものを持つ動作は頸の後ろの筋肉に負担がでます）、同じ姿勢の持続（飲酒後の睡眠や疲れ果てての睡眠などでは寝返りが少なくなる・パソコンや事務作業が長時間に及ぶと頭を一定位置に保持するために頸部の筋肉に負担が生じる）、が原因の場合が多いと思われます。いずれにしても、「外傷（けが）」ではなく、軽い病気です。
寝違えの主な原因
寝違えの原因はさまざまですが、代表的なものは以下の通りです。
- 不自然な姿勢での睡眠：狭い場所で寝る、疲労や飲酒などで寝返りが少ない状態などが原因で、長時間首に負担がかかる姿勢を取り続けることが原因になります。
- 枕やマットレスの不適合：高さや硬さが合っていない寝具は、寝返りを妨げたり首に負担をかける原因になります。
- ストレスや疲労：疲労やストレス、不規則な生活などが原因で自律神経が乱れると、筋肉の緊張が高まり、寝返りが打ちにくくなったり、首や肩の筋肉が硬直したりすることがあります。その結果、寝ている間に不自然な姿勢で固定され、寝違えが起こりやすくなると考えられます。
痛みの悪循環
- 筋肉の緊張と血行不良：負担がかかった筋肉は緊張し、血行が悪くなることで筋肉が硬直しやすくなります。
- 炎症と損傷：寝返りや起床時の急な動きで、硬くなった筋肉や関節に微細な損傷や炎症が起こり、痛みが生じます。起きてすぐ身体を動かした時に感じる痛みの原因です。
- 痛みと防御反応：炎症によって痛みが生じると、筋肉はさらに緊張し、首を動かさないように防御反応が働きます。
筋肉の緊張は末梢循環を悪化させ、疼痛物質を発生させます。
痛みを感じた身体は交感神経を更新させ、血管の収縮を起こします。
血管の収縮は筋肉の緊張を高めるといった悪循環に陥ります。
寝違えたときのNG行動
寝違えて首に痛みがあると、つい自己流でなんとかしようとしてしまいますが、誤った対処は症状を悪化させる原因になります。以下のような行動は避けましょう。
① 無理に首を動かす・回す
痛みがある状態で動かせばほぐれるかもと思って首を回したり傾けたりすると、炎症が悪化し、治りが遅くなることがあります。特にポキポキと音を鳴らすような動作は危険です。
② ストレッチを行う
通常の筋肉痛と違い、寝違えは急性の炎症です。伸ばしたり、押したりする行為はかえって筋肉や靭帯に負荷をかけ、痛みを長引かせる可能性があります。
③ お風呂で温めすぎる
温めれば楽になると思いがちですが、寝違えた直後の首は炎症状態にあります。急性期（24〜48時間）は温めると血流が増え、炎症がひどくなることも。初期は冷やすのがベターです。
④ 強いマッサージ、矯正
強いマッサージや無理な矯正は、かえって炎症を悪化させてしまう可能性があります。
痛みの伝達を遮断する目的でのマッサージなどは、痛みの緩和効果の期待があります。鍼治療もおすすめです。
寝違えたときの正しい対処法
寝違えてしまった場合、まずは炎症を抑えること、安静にすることが大切です。
① 無理に動かさず安静にする
痛みがあるときは、首をなるべく動かさずに過ごすのが理想です。デスクワークなど、長時間同じ姿勢を続けるのも避けましょう。安静が回復を早めます。
② 市販の鎮痛薬・湿布を活用する
ロキソニンなどの市販薬や、冷感タイプの湿布は炎症を抑えるのに有効です。ただし、体質や既往歴によっては医師・薬剤師に相談のうえで使用してください。
③ 症状が長引く場合は医療機関へ
2〜3日経っても改善が見られない、痛みが増している場合には、整形外科を受診しましょう。筋肉や神経、骨に別の問題が隠れている可能性も考えられます。
寝違えの予防法
寝違えを防ぐためには、日常生活の中で首や肩への負担を減らし、睡眠環境を整えることが大切です。
自分に合った枕とマットレスを使う
首や肩に負担をかけないためには、枕の高さと硬さが重要です。理想的なのは、仰向けに寝たときに首と背骨が自然なカーブを描く状態。高すぎず、低すぎず、頭が安定する枕を選びましょう。また、体をしっかり支えられるマットレスも重要です。
就寝前に軽く首・肩まわりをほぐす
寝る前に軽いストレッチや深呼吸などで筋肉の緊張をほぐしておくと、寝ている間の血行が良くなり、筋肉がこわばりにくくなります。ただし、強く伸ばすのではなく、痛みがない範囲で優しく行いましょう。
日中の姿勢を意識する
長時間のデスクワークやスマホ操作は、無意識に首や肩に負担をかけています。背筋を伸ばし、肩が内側に入らないよう意識することで、筋肉への過剰な緊張を防ぐことができます。定期的に軽く体を動かす習慣も効果的です。
定期的な運動で筋肉を柔軟に保つ
日頃から軽い体操や運動などを習慣にすることで、筋肉の柔軟性と血行が保たれ、寝違えのリスクを下げることができます。自律神経を整えるのにも効果的です。
まとめ
寝違えは一時的な症状と思われがちですが、間違った対処や放置によって、かえって回復が遅れたり再発を繰り返したりすることも少なくありません。大切なのは早めに正しいケアを行い、日頃から予防を意識した生活を送ることです。
身体の機能を改善することで、良い姿勢や負担の少ない身体の使い方を習得することが出来ます。
寝違えを繰り返してしまう方や、根本的に身体の悩みを改善したい方は西宮・甲子園のFany整体鍼灸院へお気軽にご相談ください。
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